今月の提言


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2月の提言:『プレミアムフライデーをCSR推進として捉えると!』

このところ周りではプレミアムフライデーの話題で盛り上がっていた。その効果に関しては様々な見方がある。一般的には、消費拡大効果によるGDPに対する貢献が期待されるし、働き方改革推進の一助にもなるというのがメリットだろう。しかしながら、月末の金曜日は多忙で時期が悪いし、午後3時に早上がりでは中途半端だという指摘もある。

周知のとおり、プレミアムフライデーは「日本再興戦略2016」における「官民戦略プロジェクト10」の一環として導入が決定された。消費回復が進まず業を煮やして消費マインドの向上を図り、消費支出増を目指したものだ。ただ、初回は2017年2月24日金曜日と決まったものの2回目以降は今後検討することになっていて各企業の判断に任されている。

みずほ総合研究所によるとプレミアムフライデーによる消費拡大効果は0.2兆円から0.3兆円だという。各種調査結果によると、プレミアムフライデーが実施され早く退社した場合の過ごし方は自宅で過ごすと回答した人が多い。だが、外食、スポーツ、映画などのレジャー、旅行のほか買い物などと答えた人もいるのでサービス消費を中心に消費増は期待できそうだ。一方、導入企業に関しては、DeNAの調査では2.2%、OZmallの調査結果では3%といずれも低い数字となった。みずほ総研ではこうした結果を踏まえつつ効果を試算したものだが、企業の継続的実施を前提に旅行と外食需要をベースにしている(注1)。

このようにプレミアムフライデーの現状は導入企業も少なく、消費拡大効果も限定的だ。しかしながら、企業にとってプレミアムフライデーをCSRとして捉え直してみるとどうだろうか。積極的にプレミアムフライデーを導入し、ステークホルダーである従業員や地域社会に対するCSR活動の一環として考えるのだ(注2)。

この場合、月末の金曜日に限定する必要はないだろう。任意の金曜日に早上がりやあるいは休暇を奨励して、可能であれば「ハッピーフライデー手当」を出すのもよい。そして、ボランティア活動等の社会貢献への参加を促し、これも制度的にボランティア手当を支給して奨励する手もある。そうすれば、政権にいわれて賃上げするよりも、よほど効果的ではないか。

ところで、CSRに関しては今でも懐疑的な意見が聞こえてくる。コストばかりかかって収益に貢献するのかというのが代表的だ。確かに、CSRは利益優先を超えて幅広いステークホルダーを視野に入れて社会に貢献するという考え方なのでそう考える向きもあるだろう。だが、近年の研究結果によるとCSRが企業収益に貢献するというのが常識になってきた(注3)。

たとえば、すでに2003年には米アイオワ大学のフランク・シュミットたちによってCSRが業績に貢献していることが実証されている。さらに、2013年にロンドン・ビジネス・スクールのヘンリ・セルバエスたちはCSRのイメージ効果によってB to C系の広告費を多く支出する企業の業績への効果を実証したのである。それから、CSRの情報開示効果として企業のアカウンタビリティの向上により透明性が高まることで資金調達能力を高めることがわかった。また、CSRの保険効果も危機管理にとって重要である。CSR活動に熱心なCSR指数の高い企業の方が不祥事や突発的な災害時の株価への影響が少ないのである。こうしてCSR推進が業績や株価に好影響を与えるとともに、優秀な人材も集まりやすくなるといった好循環を生む。

日本の上場企業はほとんどがCSRを推進中である。だが、プレミアムフライデーをCSR活動の一環として捉え、自社のカルチャーをさらに改善させる契機になればさらなる業績向上につながるのではないか。是非、斬新なアイデアでプレミアムフライデーを活かしCSRを進化させることを期待したい。


注1:
プレミアムフライデーの消費拡大効果に関しては,下記のリンクのみずほ総合研究所「プレミアムフライデーによる消費押し上げ効果は0.2〜0.3兆円」(2017年2月)を参照.

https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/jp170206.pdf

注2:
CSRに関しては下記の拙稿を参照のこと.

2005年6月の提言『企業の社会的責任について考える』.
http://www.csconsult.co.jp/teigen/0506.html

2006年3月の提言『CSR経営はペイするか?』.
http://www.csconsult.co.jp/teigen/0603.html

注3:
CSRと業績に関して下記の書籍の「第18章 CSRの思わぬ副次効果とは」(pp.239-247)と該当ページ内で言及している参考論文を参照.

入山章栄『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』(日経BP社,2015年11月)



【竹生孝央(ちくぶ・たかお)】(2011年より「孝央」と改名しました)

 


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